カメラの前でその学生は、「誰かのために」という言葉を、力むこともなく、当たり前のように口にした。
先日、宮古で撮影を行いました。地域の未来に向き合う人に話を聞く、ArchTV の企画です。この日カメラを向けた相手は、一人の学生でした。
若い人が地域を離れていく——それは、岩手のどの町でも耳にする話です。その現実に背を向けず、子どもたちの未来のために学び、動いている。彼が語った「誰かのために」には、気負いがありませんでした。だからこそ、その一言は静かに重く響きました。
一人の想いが、確かにここにあった。それを記録に残すことが、私たちの仕事だと思っています。
心録スタジオがカメラを向けたいのは、派手な出来事よりも、こうした「確かにあった想い」のほうです。放っておけば、言葉にされないまま消えていくもの。その、いまの姿を録っておく。「心を、録る」というスタジオの名前は、たぶんこういう瞬間のためにあります。
この日の記録は、秋ごろ ArchTV で公開予定です。宮古で出会った一人の学生の言葉が、画面の向こうの誰かの心を少しでも動かせたら——そう願いながら、編集机に向かっています。
